エアコンの暖房で効率よく部屋を温める方法

真冬に寒波がやってきたりすると、エアコンの暖房だけではうまく部屋が温まりません。
エアコン暖房は上半身は熱くなる場合でも足元は冷たいことが多いですが、設定温度を上げても足元を暖かくすることはできません。
この原因は、エアコンは冷房をメインとして設計されているため暖房にはあまり適さないということにあります。
しかし、エアコンの設定や100円均一で売られている材料などを使って風向きを調整するだけで、足元はポカポカして上半身は熱くならないという室内環境を作ることができます。

エアコンが暖房に適さない理由と対策①

・暖房負荷に対して能力が小さい
エアコンは冷房運転と暖房運転の能力は同じぐらいか、2～4割程度大きくなっています。
例えば、エアコンの室内機の下面などに貼られているシールを見てみると、冷房能力は2.2ｋWに対して暖房能力は2.2～2.8ｋWの能力になっているものもあります。
これだけではエアコンは夏場の冷房よりも冬場の暖房のほうが適しているように思われますが、もう一つ考えなくてはならないことは部屋を温める（冷やす）ためにどれだけの熱が必要なのかという暖房（冷房）負荷です。
このことは、部屋と外の温度差を考えるとよく分かります。
真夏日で部屋の外が39℃で冷房が効いた室内が28℃の場合はその温度差は11℃になり、エアコンの冷房は部屋の温度を11℃下げる働きをしています。
これが冬場に部屋の外の温度が0℃で暖房の効いた室内が23℃の場合はその温度差は23℃になり、冷房の2倍ぐらいになります。
これは、エアコンの冷房と暖房の能力はほとんど同じなのに対して、暖房で部屋を温めるためには2倍近くのエネルギーが必要ということです。
そのため、真夏の猛暑をエアコンのフル稼働で冷房しているような部屋の場合、寒波中の暖房を同じエアコンで行なった場合は暖房能力が足りず、部屋が温まらないということになります。
エアコンには8畳用などの表記がありますが、この表記は冷房使用時の参考表記です。
一般的に部屋の大きさが8畳の場合は表記が8畳のエアコンを購入すると思いますが、エアコンだけで暖房もまかなう場合は実際の部屋の大きさに対して1.5～2倍程度は能力の大きなエアコンを選ぶ必要があります。

・エアコン本体の暖房効率（能力）そのものを高める方法
1.室内機のアルミフィン部の熱交換効率を高める
エアコン本体の暖房効率を高めるためは、フィルターがきれいな状態で風量を最大に設定することです。
エアコン暖房は室外から取り込んだ熱を室内機で吐き出すことにより室内を温めます。
室内から取り込まれた空気は熱いアルミフィン熱交換器の中を通過することによって加熱され、その加熱された空気がファンより室内に吹き出されます。
そのため、効率よくアルミフィンの熱を空気に伝えるためには、アルミフィンを通過する空気を速く流す必要があります。
しかし、エアコンのファンを必要以上に回転させると音が大きくなることもあり、リモコンで風量を自動設定にするとファンの回転数は少し低めに保たれます。
エアコンの暖房運転の効率を上げるためにはアルミフィンの中を流れる空気を早くする必要があるため、部屋がなかなか温まらない場合は風量を最大に設定しましょう。
また、エアコンフィルターにホコリが溜まっている場合は空気の吸い込みが悪くなり暖房効率が低下しますので、フィルターに積もったホコリも取り除きましょう。

2.熱交換器の温度を高める
エアコンの能力が小さいために部屋がなかなか暖かくならない場合は、風量やハイパワーモード設定をうまく利用してエアコン本体の暖房能力を最大限引き出しましょう。
熱交換器（アルミフィン）自体の温度を高めることによって空気を暖める能力を上げます。
室内機の中にあるアルミフィン熱交換器そのものの温度を高くするためには、室外機にある圧縮機の回転数を高めることが必要です。
圧縮器は中位の回転数が省エネで室外機側の騒音も小さくなるため、通常運転において最大回転数で回っているのは暖房始動時ぐらいです。
しかし、エアコン本体の暖房能力が足りないため部屋が暖かくならない時に電気代はかかっても部屋を暖かくした場合は、リモコンなどにあるハイパワーボタンを押すことで圧縮器をMAXの回転数で回すことができ室内機側の熱交換器の温度を高めることができます。
熱交換器のアルミフィンの表面温度が高くなるとそこを通り抜ける空気もより暖められることになり、結果としてエアコンから吹き出される温風の温度も高くなります。

エアコンが暖房に適さない理由と対策②

・エアコンのルーバー（上下の風向きを変えるための羽）が小さい
エアコンは冷房をするためのものとして開発され、暖房は後付けの機能とされてきました。
そのため、冷房で部屋を効率良く冷やすために取り付け位置は部屋の上方で、そこから前方に向かって冷気が出る構造になっています。
冷気は自然と下の方に降りていくため、これは冷房にとっては最適な形です。
しかし、同じエアコンで暖房を行うとなると、少し様子が異なります。
一般的なルームエアコンのルーバーは小さすぎるため、上に上に行こうとする暖かい風を下向きにしようとしても斜め下方向にしか進まず、床面までしっかりと到達する前に暖かい風の大部分が部屋の上の方に昇って行きます。
そのため、暖房をつけても部屋の床面は冷えたままで足元は寒いけれど部屋の天井付近は暖かく、頭が熱くなるということになります。
最近の新しいエアコンのルーバーが異様に大きくなっているのは、暖房時の気流を床面まで届くようにコントロールするためです。
部屋の床面温度が高くなると効率よく暖房できている（体感温度を高くすることができる）ということになり、エアコンから同じ量の温風が吹き出していても暖かく感じることができます。

・エアコンの暖気を効率よく足元まで届かせる方法
100円ショップなどのランチョンマットをホッチキスでつなげてエアコンの吹き出し口の幅と同じぐらいのシートを作ります。
シート裏面の上の方に両面テープを付けて、エアコンに貼り付けます。
今まで斜め前に流れていた風が真下に向かって流れることで床面から順番に温めるようになるため部屋の高さ方向の温度差がなくなり、部屋の中が暖かく感じられるようになります。

失敗しないためのエアコン選び
・部屋の大きさや鉄筋・木造建築などの建築方法でエアコンも能力を選ぶ
・窓の大きさ、部屋の向き(南部屋など)、壁の断熱処理の有無なども考慮する
・冷房より除湿の方が電気代が高い機種(機能)があるため確認する
・様々な機能(気流の種類、運転モード、センサー機能、再熱除湿、除菌機能、自動お掃除機能など)が必要な機能(使用する部屋の用途など)なのか考慮する

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